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下水道使用料の使いみちと、丸亀市の取り組み
下水道事業で必要な費用と財源
下水道事業を運営するための財源は、主に「下水道使用料」「受益者負担金」「市税」「企業債(借入金)」「国・県からの補助金」です。
施設の稼働や建設など、下水道事業に必要な費用は、皆さまにご負担いただいている下水道使用料や受益者負担金、税金(市税)をはじめ、長期の借入金である企業債、さらには国や県からの補助金を財源としています。
下水道事業における3つの財布
「下水をきれいにして海に戻す」際に必要な経費と、皆さまからいただいた下水道使用料を管理するための財布で、「収益的収支」と呼ばれています。
「下水の通り道である下水道管」「下水をきれいにする下水処理場」「大雨からまちを守る雨水施設」などを建設したり、更新したりするための財布で、「資本的収支」と呼ばれています。
「収益的収支の財布」の「収支の差額」や「減価償却費」などを貯めている財布で、「内部留保資金」と呼ばれています。この「内部留保資金」を使って、「資本的収支の財布」の収支不足額を穴埋めします。
施設の建設・更新等は、外部資金(2つめの財布である資本的収入)と自己資金(3つめの財布である内部留保資金)を使って行っています。
3つの財布の内訳と役割
(1)一般会計繰入金
雨水を処理する費用などを賄うために、丸亀市が一般会計(税金)で負担するお金です。
(2)長期前受金戻入
施設などを整備するにあたり国や県から受け取った補助金等(8)を1年ごとに分割し収益とした額です。
(3)下水道使用料
丸亀市で下水道を使用されている皆さまからいただくお金です。
(4)収支差額
収入から支出を引いたものです。プラスの場合は内部留保資金となり、借入元金の返済(10)や、施設を建設・更新・耐震化(11)するための財源になります。
マイナスの場合は当年度に貯めておくべき内部留保資金が不足してしまうことになります。
(5)汚水・雨水の処理、施設の維持・管理をするための費用
施設の修理代や、汚水・雨水を処理し海に戻すための電気代や薬品代、下水道使用料を徴収するための費用、職員の給与費などのお金です。
(6)減価償却費
施設を使用することで1年間に減る価値の額です。
実際にお金の支払いがないことから、(2)の長期前受金戻入を除き、内部留保資金となります。
「(5)汚水・雨水を処理し、施設の維持・管理をするための費用」 の令和5年度の主な取組
《下水道施設運転管理業務委託》
下水道施設の運転管理は、汚水を安全に処理し、衛生的な生活環境を保つために欠かせない業務です。
専門業者による安全かつ適切な管理のもと、地域の衛生環境の維持に努めています。
(7)収支不足額
収入から支出を引いたもので、不足分は内部留保資金から補てんします。
(8)国・県からの補助金
下水道事業を行うために国や県から交付されるお金のことです。
(9)国などからの借入金
下水道事業を行うために国などから借りたお金のことです。
(10)借入元金の返済額
下水道事業を行うために国などから借りたお金(元金)を返済するための費用です。元金の利息を返済する費用は「収益的収支の財布」から支出します。
(11)下水道施設を建設・更新・耐震化するための費用
新しい施設の建設や古くなった施設の更新、地震に備えて耐震化を行うための費用です。
「(11)下水道施設を建設・更新・耐震化するための費用」の令和5年度の主な取組
《新浄化センターの建設工事》
本市の汚水処理において中心的な役割を担っている現丸亀市浄化センターは、経年による老朽化や塩害による劣化、南海トラフ巨大地震への耐震性能など、早期の対策が必要となっています。安定した下水道サービスの提供を行うため、平成29年度より新浄化センターの整備を進めています。
《今津ポンプ場建設工事》
気候変動により大雨が頻発化しているなか、以前より内水氾濫による浸水被害が発生していた今津地区の被害軽減のため、内水排除を行うポンプ施設を新たに整備しています。
《管渠改築工事》
腐食や破損が進んだ管を更新し、漏水や陥没の防止に努めています。
実際にお金の支払がない減価償却費や、これまでの収益的収支の支払差引によって貯めている自己資金です。
下水道事業財源の使いみち
下水道事業の運営は大きく「施設の維持管理」と「施設の建設」に分けられます。
施設の維持管理
下水道施設の運転管理や清掃、点検調査、修繕を行っています。
このための財源は「下水道使用料」や「市税」で運営しています。
雨水公費・汚水私費
雨水を流すための費用には税金(公費)をあて、下水道使用料(私費)は主に汚れた水をきれいにするための費用をあてています。これを「雨水公費・汚水私費の原則」といいます。
雨水は自然現象であり、雨水を排除する受益は広く及ぶことから、税金(市税)で負担するものとし、汚水は日常生活や生産活動等により生じるものであるため、下水道を使用される方に排出量に応じた下水道使用料の負担をお願いすることになります。
施設の建設
浸水対策や地震対策などのため、新たに下水道管の建設や、老朽化した下水道施設の更新工事を行っています。
このための財源は「企業債」や「国・県からの補助金」等で賄っています。
建設した下水道施設は長期間使用するため、施設を利用するすべての世代に公平に費用を負担していただくという考え方に基づき、長期の借入(企業債)を行っています。
また、建設には多額のお金が必要であり、下水道の建設は国策上も重要であることから、国・県から補助金が交付されています。
下水道使用料を100円に置き換えると
上のグラフは下水道使用料を100円に換算して使いみちを表したものです。(令和5年度決算値より)
5割以上を借入金の返済や利息の支払いが占めており、お金の使いみちの自由度は低くなっています。