ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 分類でさがす > 行政情報 > 市政運営・行政改革 > 市民活動・協働 > 令和7年度 協働のまちづくり講演会「めんどくさいから始める協働の力―共感から生まれる理解と信頼の輪―」を開催しました

本文

令和7年度 協働のまちづくり講演会「めんどくさいから始める協働の力―共感から生まれる理解と信頼の輪―」を開催しました

ページID:0037771 更新日:2025年9月19日更新 印刷ページ表示

R7kouenkai1hanai

令和7年11月27日(木曜日)に演出家で一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所理事長の 花井 裕一郎(はない ゆういちろう)さんをお招きし、協働のまちづくり講演会「めんどくさいから始める協働の力-共感から生まれる理解と信頼の輪-」を開催しました。講演会には瀬戸内中讃定住自立圏域の丸亀市、善通寺市、琴平町、多度津町、まんのう町にお住まいの方や行政職員など、85名の方にご参加いただきました。

 

めんどくさいから始まる協働

協働とは、同じ目的のために対等な立場力を合わせることです。しかし、その第一歩は「めんどくさい」という感覚から始まります。誰かと一緒に何かをすることは、時に一人でやるより手間がかかり、調整や話し合いが必要になります。それでも、“面倒くささ”を乗り越えた先には、人と人の信頼が生まれ、地域の色が立ち上がり、地域が変わる大きな力があります。その価値と実践のプロセスを花井さん自身の経験を交えてご講演いただきました。

r7kouenkai2hanai

 

花井さんは、長野県にある小布施町に移住しまちづくりを経験されました。協働を成功させるためには、「理念」「チームワーク」「コミュニケーション」の3つの要素が欠かせないとのことです。

理念は、「何のために、だれのために」取り組むのかという共通の拠り所で、地域や組織の存在意義を共有することです。小布施町のまちづくりでは「外はみんなのもの、うちは自分たちのもの」という理念が、景観を守りながら暮らしを豊かにする基盤となりました。

チームワークは、「一人では成し得ないことを分担と補完で形にする力」で、一人ではできないことを仲間とともに実現する力です。協働は役割分担と信頼関係の上に成り立ちます。

コミュニケーションは、「異なる立場や価値観をつなぎ、合意を育てる時間の積み重ね」で、対話を重ねることで信頼を築くことです。小布施町では、2年間で100回以上の話し合いを重ね、住民・行政・専門家が一体となってまちづくりを進めました。

そのうえで、結果だけにとらわれず「100年先を見据えた物語(ストーリー)を描く視点を持つこと」が重要で、自分たちの営みが、未来の誰かの営みにつながると信じ、未来へ続くプロセスを描くことが、協働の持続性を高めるカギになるということを強調されました。

r7kouenkai3hanai

ここからは花井さん長野県小布施町で学び、関わってきた事例をはじめ全国各地での協働事例が紹介されました。どれも「めんどくさい」を乗り越えた先に生まれた取り組みです。

「小布施町並み修景事業」は、1986年頃から始まった事業で、「外はみんなのもの、うちは自分たちのもの」という合意に基づき、町並みの外観は地域の共有財産として調和を保ち、内側の暮らしは各家庭の自由を尊重するという考え方で、住民・民間・行政・専門家が2年間で100回を超える話し合いを重ね、土地の交換や賃貸、セットバックの工夫、景観条例の運用、歩道と私有地をまたいで連続した舗装デザインなど、細かな“面倒”を一つひとつ乗り越えて形にしていきました。国道から文化施設へ人を導く「栗の小径」の整備では、畑のあぜ道という歴史的文脈を尊重して車の進入を制限し、人の歩みに焦点を当てた設計で整備が進められました。結果、人口約1万人の小さな町に年間100万人以上が訪れ、観光と暮らしが調和する風景が育ちました。

この事業を土台に発展したのが、町民が自宅の庭を開放する「オープンガーデン運動」です。ヨーロッパのガーデニング文化を学ぶ研修に参加した住民有志の提案から始まり、現在は、130軒以上が参加しています。春には桜や季節の草花がまちなかの動線とつながり、訪れる人と住民の交流が自然に生まれる仕掛けになっています。当初はマナー等の課題もありましたが、対話と合意形成、運用ルールの工夫を重ねて成熟していきました。

また「小布施見にマラソン」は、行政・住民・警察なども巻き込んだ全員参加型のハーフマラソンで、「走る人も見る人も楽しい」を掲げ、観光動線ではない“オフの道”をコースに選び、実行委員会や地元中学生が給水係などを担うほか、住民が自発的に野菜や果物を差し出したり、中には焼肉を振る舞うなど、地域の好意が自然発生的に積み重なっていくプロセスが魅力の核になりました。今では全国的なイベントとなり、交通・宿泊の臨時運用も含めて周辺地域まで波及効果が広がっていきました。

次に紹介されたのが、小布施町の新図書館プロジェクトです。町長の公約から始まったこの取り組みは、当初は「体育館が先だ」という声も強く、賛否が交錯するなか議論が重ねられました。町長は「最終的な形は町民で決めてほしい」と場を委ね、150人規模の住民参加のもと、2年間で53回の会議を通じて、図書館を「交流と創造の文化拠点」として位置付け、子育て・学び・交流・情報発信の4つを柱とすることが決まりました。設計・運用に関する委員会と複数の部会が立ち上がり、素材やレイアウトの検討、電算化のためのシステム選定ではプロポーザル審査に住民代表が加わるなど、意思決定の要所に住民が主体的に関わりました。館長は全国公募によって選定され、花井さんが初代館長になられました。役職の要件や報酬の透明化、移住を含む条件の明確化が信頼を支える仕掛けになったそうです。

また、オープン後の運営こそが協働の真価だったそうで、図書館は建てて終わりではありません。住民と行政、専門家が再び円卓につき、運営プロジェクトを立ち上げ、月例の場で企画を育て続けました。例えば食育の企画では、健康や添加物の議論を正面から煽るのではなく、焚き火とご飯づくりを通じた体験型の場へと発想を転じ、伝統野菜のおかずを“地域のおばあちゃん”が振る舞う構成にして、味わいと会話の中から気づきが生まれるように設計されました。クリスマスには、子どもたちだけでケーキを作る企画に挑戦し、調理室の様子を保護者がいる別室に中継し、保護者は口出しはできないが見守れる仕組みを作りました。子どもが自分たちの手だけで完成させたケーキを大事に箱に詰めて家族へ手渡す場面では多くの涙がこぼれ、図書館が“家族の物語”を作る舞台にもなりました。

アートの領域でも、地域のアーティストや学生と展示やワークショップを重ね、図書館を文化発信の拠点に育てられました。さらに、町中に本を広げる「まちじゅう図書館」では、カフェや菓子店などまちの様々な店舗が自分たちの専門や関心に沿った本を棚に並べ、来店者が自由に手に取れる小さな“私設分館ネットワーク”を築いています。専門的な分類だけでは拾いきれない生活の知恵やこだわりがまちなかの棚で呼び水となり、自然に会話が生まれ、趣味や仕事が交差する場面が日々育っていきます。図書館本体は閲覧・貸出・プログラムを担う協働のハブに、まちなかの棚は人々の日常に寄り添う触媒として機能し、両者が緩やかにつながることで地域の学びと交流の層が厚みを増していきました。この取り組みは、小布施から他地域へと伝播し、本県の琴平町や首都圏や北海道などの自治体で、それぞれの地域性に合わせて形を変えながら根付いています。喫茶店の棚、菓子店の棚、絵師の棚__選書の偏愛がそのまま人柄になり、棚の前で会話が生まれ、来店者と店主の関係が深まる。図書館本体とまちなかの私設分館が呼応することで、まちは“本を介したつながり”というあたらしい公共性をまとい、協働の文化が日常の風景として息づいているそうです。

この新図書館プロジェクトの象徴的なエピソードとして、旧館から新館への引っ越し作業があります。引っ越しの見積もりは高額で、それに対する予算は乏しい。ならば自分たちで運ぶしかないと、住民や小中学生、地域団体が協力し合いました。図書委員の児童が列を作り、一冊一冊手渡しで運ぶ。部活動の生徒が練習を短縮して駆けつける。運び出す動線には笑い声がさざめき、夕方の図書館前はあたたかな気配で満ちる__本が移動しているのではなく、“まちの関係”が移動しているのだと感じさせられる場面だったそうです。オープン後も植栽の寄付を募るプロジェクトや、会議や決定のプロセスを記録するデジタルアーカイブづくり(まちちとしょテラソMLA構想「小布施正倉」を含む)など、成果を外に開き、時代を超えて読める形にする工夫が続けられています。協働は、つくる・使う・語り継ぐまでの一連の営みであり、記録と公開は次の参加者を生む“招待状”になるのだと花井さんは語られました。

r7kouenkai4hanai

次に協働の考え方が全国へ広がった事例が詳しく紹介されました。

福岡県福智町で進められた図書館と歴史資料館の複合施設では、住民説明会の最前列に中学生が並び、「僕たちにできることはありますか」と発言したことが起点になりました。夏休みを活用して設計事務所に足を運んで図面の読み方を学び、模型作りに挑戦。映像投影の実験では、スクリーンとプロジェクターの距離を自分たちの手で測り、音の響きを確かめ、屋外のイベント動線を実地で検証しました。地域住民へのインタビューでは、緊張で目を合わせられなかった生徒たちが質問を重ねる中で徐々にうなづき合う姿が見られたといいます。町内に3校ある中学校の生徒会が共同で編集した新聞には、館長候補の人物像や女性設計者の考え、設計の模型写真や参加した中学生のプロフィールまでが丁寧に綴られ、情報発信ツールとして町内に貼られたり、回覧されました。施設が開館した後も、この経験は若い世代の「地域と自分の関係」を太くし、帰郷や関わり続ける動機の種になっている__時間を超えて効いてくる協働の力が伝わる事例でした。

群馬県太田市の図書館では、絵本コーナーを「世界地図」のように配置し、各国で生まれ日本語に訳された絵本が地理的な感覚とともに出会える工夫が施されました。ワークショップでは、親子が自分たちの探し方で分類を考え「~ちゃんがつく本」など司書の常識では生まれにくい、生活者視点の柔らかな分類が提案されました。その中のいくつかは実装され、子どもの言葉で棚を編む試みは来館者の探索行動を豊かにしたといいます。建設から年数を経ても実行委員会を継続し、図書館・美術館・教育委員会・市民が一堂に会して、理念から活動を俯瞰し、軌道修正や挑戦の後押しを行う場を守っていることも強調されました。

r7kouenkai7hanai

花井さんからは、こうした取り組みのどれにも「ファーストペンギン」の存在があると語られました。群れの中で最初に海へ飛び込む一羽のように、最初の一歩を踏み出す人がいるから、次の人の勇気が連鎖し、協働の輪が広がります。小布施見にマラソンでは、最初に「やってみよう」と給水を買って出た中学生たちがいました。沿道で自主的に野菜や果物を差し出した農家さんも最初に立ち上がった“一羽”です。図書館の運営では、最初に企画の火をつける住民がいて、その火にもう一人が薪をくべ、次の人が場を整える。まちじゅう図書館でも最初に自店の棚を開いた店主がいて、その姿を見た隣の店が続き、通り全体が本の回廊になっていく。ファーストペンギンを見つけ、支え、次の一歩を促すこと__それが“めんどくささ”を超える実践の最初のスイッチになると具体例を交えて語られました。

r7kouenkai5hanai

最後に情報発信とAIの活用についても触れられました。協働の成果を次の協働につなげるためには、記録してまとめ、届ける力が欠かせません。近年は、プレスリリースを自動生成・配信できるAI広報ツールの普及が進み、広報の負担を軽くし、現場の時間を企画や関係づくりに振り向けることが可能になっています。AIは人の仕事を奪うものではなく、創造的な仕事のための時間を捻り出す補助線であり、協働の現場にとっては、成果を外に“ひらく”ための心強い相棒になり得る__そんな実感に根ざした提案でした。

参加者からは、「めんどくささを超えていくプロセスが、合意や誇りを育てることがよく分かった」、「図書館の事例は、建てることより“運営を続けること”が要だと教えてくれた」、「中学生が最前列にいる風景に未来への希望を見た」などの感想が寄せられました。

r7kouenkai6hanai

花井さんの言葉を借りれば、協働とは“めんどくさい”を合言葉に「理念・チームワーク・コミュニケーション」を粘り強く編む営みであり、その最初の一歩を踏み出す“ファーストペンギン”の勇気が連鎖を生みます。私たちにできることは、その一羽を見つけ、支え、次の一歩を促す仕組みを組織とまちの日常に埋め込むことです。図書館の企画づくりやまちじゅう図書館の棚、マラソンの給水所__どの現場にも最初に飛び込む人がいて、2人目、3人目が続き、合意が育ち、文化になります。わたしたちも今回の学びを糧に、地域の未来をつくるため、理念を共有し、チームで動き、対話を重ね、ファーストペンギンが生まれ続ける環境を育てながら、めんどくささを超える物語を記録して届ける__その一歩をこれからの業務や地域活動に活かしてまいりたいと思います。

 

 

 

 

 

 

R7teijukyoudoukouenkai

誰かと力を合わせるって正直めんどくさい。でも関わっているうちに少しずつ変わっていく自分。そのプロセスの中で生まれる「共感」が「理解」と「信頼」の輪を広げていきます。地域活動、職場、家庭など様々な場面で「協働」が求められる今、一歩踏み出す勇気と、関わりの中で育まれる力を一緒に考えてみませんか。

 

時:令和7年11月27日(木曜日)  14:00~16:00(開場 13:30)

場所:丸亀市市民交流活動センター マルタス 1階 多目的ホール1・2

募集人数:100名(要申込)  入場無料

瀬戸内中讃定住自立圏域(丸亀市・善通寺市・琴平町・多度津町・まんのう町)にお住まいの方、地域づくりに関心のある方のご参加をお待ちしております。

令和7年度 協働のまちづくり講演会 チラシ [PDFファイル/4.03MB]

 

 

Adobe Reader<外部リンク>
PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)